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沼の底

沼の底

私はある日から沼の近くに迷い込んだ

沼は私にとってはとても美しくてとても魅惑的でもっと沼の近くに行くことを私は強く望んだ



そこである男性と出会った

けれども沼の近くは靄がかかっていて、その男性の顔までは見えなかった

彼は私に言った



「この辺りは怖いものが見えてしまう。目隠しをした方が良い。」



私は彼に目隠しをされたぼんやりと明かりは感じる程度の薄い目隠し怖いものを見せないようにしてくれたとっても優しい彼だと私は思っていた



彼はずっと手を繋いでいてくれたから、危ない目に遭うことはなかったし、迷ってしまうこともなかった



その沼の辺りでは2人きりでいつも楽しくおしゃべりをした



2人だけの楽しい世界彼の顔は見えない

肌寒い時には彼が抱きしめてくれた



私は目が見えなくても彼の心地よいリズムの声を聞いているだけで幸せさえ感じていた

彼といることが楽しくて楽しくていろんな記憶を忘れていく



「沼の底には堕ちてはいけないよ」



彼はそう言ってくれていたのに

気づいた時にはもう遅かった



沼の中に堕ちていく上も下も分からない

ただ堕ちていく

堕ちていく




気づけば彼の手は私から離れていて

沼の底まで堕ちた時には一人ぼっちだった



彼は色んなことを教えてくれて

なのに息継ぎの仕方は教えてくれなかった



苦しい

息ができない

彼がいない



愛しさと恋しさで押しつぶされそうで

一人ぼっちの沼の底は寂しくて仕方なかった



そこでふと思い出す

彼は沼の底での息継ぎの仕方は教えてくれなかったけれど

沼の底から這い上がる方法を教えてくれていたっけ



苦しさで押しつぶされそうになりながら

私は沼の底から上を目指した



彼がいなくなってしまったのはとても寂しかったけれど

お別れの言葉も伝えることはできなかったけれど



ただ上を目指した